EBRI事務局担当の岩松美千子こと、
みっちゃんです。
今回は企業訪問【番外編】
見学ツアーへ行ってまいりました♪
今回は、環境省から兵庫県尼崎市に出向し、自治体の現場で環境とビジネスのマッチングにも取り組んでおられる福嶋慶三さんに突撃訪問インタビューを行いました。
Ⅰ 自己紹介
みっちゃん「お久しぶりです。まず簡単に、自己紹介をお願いできますか?」
福嶋さん「はい、お久しぶりです。6月の環境ビジネスセミナー会のときにも、お話しさせていただきましたが、私自身は7月から、環境省よりこちらの尼崎市に出向しています。
環境省では、主には地球温暖化の国内対策や国際交渉などに関わっていました。最初に温暖化対策に携わった頃は、まだ京都議定書も発効していなくて、どうやって国内の6%の約束を達成するのか考えると同時に、そもそも京都議定書を発効させるための国際交渉などもやっていた時代ですね。
また、内閣官房にも2回ほど出向していまして、最初の小泉政権の時は構造改革をやるにあたって、各省に対して「もっと規制緩和できないか」とか言ってバトルしたりしていました。構造改革特区などは、総じてかなりこれまでの規制に突破口を開いて、結構成功したのではないかと思いますが、やはり導入当初は実験的な要素も強かったので、あとから結果を見ると、必ずしも成功とはいえない部分も多少はあったのではないかと思います。しかしながら、行政がこのようなトライ&エラーをしながら物事を進めていく、という手法自体が新しい、という時代でもあったと思います。次の政権交代直後の鳩山政権の時には、まさに温暖化対策のど真ん中というか、25%をどうやって達成していくのかということを考えたりしていました。
そのほか、仕事以外の課外活動では、環境系の異業種勉強・交流会「YEN(えん)」や、「新しい霞ヶ関を創る若手の会プロジェクトK」、「官民協働ネットワークCrossover21」などにも関わって、仕事を超えたネットワークづくりにも取り組んできました。」
Ⅱ 国と自治体の違い
みっちゃん「ありがとうございます。ところで今回、国から基礎自治体に出向されているということですが、仕事を進めていく上で、どんな違いがありますか」
福嶋さん「国の方は、政権交代もありましたが、なかなか一気に大きくものごとを変えていくというのは非常に難しいと、特にこの数年の経験では感じましたね。個人的には日本社会は、かなり曲がり角に来ていると思っていて、このままでは本当に国自体が立ち行かなくなるのではないか、という強い懸念を持っています。それは財政しかり、硬直的な制度しかり、縦割りの各省しかり、です。多くの制度がその背景として、高度成長期に仕組まれたもので、そこからまだ考え方も含めて、脱却できていないのではないか、ということを強く感じています。
一方で、基礎自治体の方は、財政問題にせよ、少子高齢化にせよ、もうすでに早くから影響を受け始めていて、行政サービスの質量を見直し、場合によっては従来レベルから落とさざるをえないところに来ている。危機感の強さが国のレベルとは全然違うと感じます。尼崎市にしても、財政的に非常に苦しくて、新規に多額の財政投資を行う施策はもうほとんど難しいという状況になっていて、その中で、みんなで知恵をしぼりながら、どうやって市民の方々に納得のいくサービスを提供していくか、というところを必死になってやっている、という感じです。ただ、基礎自治体では、こういうある種の行政改革にしてもそうですが、全庁横断的なことが、市長などのトップダウンでドンドンと進めていける。国の方は、自分も内閣官房にいた経験からわかりますが、総理のトップダウンがあっても、なかなか進んでいかない。組織自体の大きさの違いに起因する部分もあると思いますが、個々の職員の意識の違いも大きいと思います。例えば、当たり前ですが基礎自治体ではその市町村で一括して職員を採用しますが、国の方は各省別に採用をしたりするので、職員の意識もまず国全体のことを考えるという思考形態ではなくて、自分のやっている守備範囲であるその省のことを中心に考えてしまう傾向があると思います。もちろん、自戒も込めてなのですが。しかしながら、例えば、尼崎市なんかでは、今の局長級の人たちは同期の方たちなども多くて、すごく仲がよく、セクションを越えて、連携を密にできている。そういった違いもあると思います」
Ⅲ 環境とビジネスの融合
みっちゃん「ご自身が尼崎市で今取り組んでおられるお仕事についても、教えていただけますか」
福嶋さん「はい。尼崎では『ECO未来都市宣言』というものを掲げまして、これは尼崎の経済団体、すなわち商工会議所や経営者協会、工業界、尼崎信用金庫などと市が一緒になって、もともと尼崎がもっている「ものづくり」などの産業分野の強みを生かしながら、環境というテーマを軸に、新しい事業や商品など、ビジネスにつなげることができないかをみんなで考えていこう、という取組です。この手の取組は、行政が先導的に産業界をリードして、しかしながらあまりうまくいっていない、という事例も散見されると思うのですが、尼崎では、まるで円卓会議のように、参加者みんなが対等で、それぞれがそれぞれの強みを生かして、地域の経済活性化のために何ができるのか、という視点でアイデアを持ち寄り、意見を出し合い、具体的な取組につなげています。」
みっちゃん「具体的にはどのような取組が行われているのですか」
福嶋さん「例えば、尼崎信用金庫の財団である尼信地域振興財団から融資を受けて、尼崎工業会などにもご協力いただき、改造電気自動車(コンバートEV)を製作しています。10月20日、21日に開かれる尼崎産業フェア(http://www.amafair.com/)で完成版がお目見えする予定で、試乗会なども行う予定です。そのほか、電気自動車の普及に向けた取組や太陽光などの自然エネルギーの推進、水道水の利活用など様々な事業を連携しながら進めているところです」
みっちゃん「なるほど。それでは、最後に一言いただけますか」
福嶋さん「ECO未来都市にも関係するのですが、市長の施政方針の中の重要施策の1つとして『尼崎版グリーンニューディール』の推進を掲げています。これは、先にお話したとおり、尼崎市は財政的には厳しくて、大規模投資などはできないのですが、尼崎には大企業から中小企業まで様々な優れた企業もありますので、その個々の強みやニーズなどをマッチングさせていきながら、環境をテコにした新しい地域の活性化ができないかと今まさに検討を進めているところです。尼崎市の内外で、いろんなキーパーソンやビジネスニーズ・シーズを探しているところでもありますので、ぜひ、環境ビジネス総合研究所とも、今後とも、何か連携やコラボレーションをさせていただけると嬉しいです! 引き続き、よろしくお願いします」
みっちゃん「本日はお忙しいところありがとうございました」
福嶋さん「こちらこそ、ありがとうございました」
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