「脱炭素政策は地球にとって本当によい?」
~地球上の生物多様性保全に日本企業が出来ることはなにか~
現在SDG’sを唱えているこの世の中、環境改善に向けて多くの企業がそれを目標にプロジェクトを立て、進行しています。その中でも「脱炭素政策」という言葉をよく耳にします。脱炭素政策を実行した結果、環境は本当に良くなっていくのでしょうか? 今回は“コンゴ盆地で30年・自然とヒトの道先案内人”西原智昭氏(通称:ドクター西原)に脱炭素政策の根本的な問題についてお話していただきました。 西原氏は今回参加した方々に向けて「まずこの言葉を頭に入れてください」と言い、ここから本編がスタートしました。 “お前たち家族が食事中に、知らない白人が家に入ってきて、今すぐにここから出て行け!と言われたらどうする?わしらの歴史はその繰り返しだ” ———南米アマゾン・カヤポ族ラオーニ長老——— この言葉は先進国がより良いものを作るために発展途上国の環境を破壊している例でした。脱炭素政策に向けて、EVや再エネルギー装置がたくさん作られています。 それを作ることにより大量な鉱物資源が必要となり、それを得るために森林破壊や人権侵害に見舞われている地域がある。アフリカの熱帯林の現場で30年にわたり生物多様性保全や資源開発・先住民族の問題に携わってきた西原氏がリアルに見て体験した内容を話してくれました。
また日本国内も似たような現象に陥っています。
特に首都圏が脱炭素政策のために屋根にソーラーパネルをつけたり、あるいは電動自動車に切り替えたりして、二酸化炭素を減らすのに貢献している反面、地方の自然界がどんどん無くなっているのが現実。
その後EBRI理事長山口真奈美と西原氏が先住民族の方々の思いや現状などについて、日本の企業は今後どんな風に捉え、アクションをとっていけばいいのかなどについて対談しました。
対談後35人の参加者とZoom越しで乾杯し、フリートークがスタート。参加者からたくさん感想や質問をいただきました。そのうちの一つをご紹介します。
Q:「どうやってこの国の自然エネルギーを増やすのか、また交通機関がガソリンからEVへの切り替えがどんどん主流になってきている世の中、その辺をどう考え直さなきゃいけないのかもし何か的確なアドバイスありましたらぜひ聞かせてください。」
A:「僕ごときに何かアドバイスはできないですけども、日本のいくつかの企業さんは希少金属のリサイクル技術を持っていて、そういう技術があんまり世間に知られていないのは非常にもったいないことだと思います。その技術で電気自動車のリチウムイオン電池が作れます。でもそれには莫大なコストがかかり、一つの企業だけでは容易に出来る事ではありません。そういう風潮にもっていくことが重要だと思います。そして個人も企業も例えば“温暖化のためになんとなく再エネがいい、EVがいい”ではなく、まず根本的に問い直すことが第一歩だと思います。そしてその思いが政治家に届かない限り。僕は今の日本は変わらないままだと思います。資源がないから途上国で開発、再エネが必要だから地方の自然を崩す、そういう繰り返しになってしまうと思います。」
初回のManami’s Salonはとても充実した会となりました。
今回の会を通して、知らない世界の現実を知り衝撃を受けると同時に求めすぎることも環境にとって良くないことだととても強く感じました。
【ゲスト講師プロフィール】
西原 智昭氏
・京都大学理学部人類進化論研究室出身、理学博士
・星槎大学共生科学部特任教授
・野生生物保全協会(WCS)自然環境保全研究員
・著書『コンゴ共和国〜マルミミゾウとホタルの行き交う森から(増補改訂版)』(現代書館2020年)
コンゴ盆地で30年・自然とヒトの道先案内人
Manami(山口真奈美)からのメッセージ:
「気候危機が進み、早急に脱炭素を進めて行く必要がありますが、一方で太陽光パネルや風力発電など、再生可能エネルギーを構成するものの原材料が、どこからどのように調達されているのか。その背景にある環境社会的課題や先住民との関係についても、俯瞰して情報を把握し、考え、取り組む必要があります。様々な技術やサービスがありますが、日本企業や私たち一人ひとりができることについて、考えるべき深いお話を対談で伺うことが出来、西原先生や参加者の皆様に感謝しています。ありがとうございました。」
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