「みっちゃん&エイミーが行く!」こちらはEB+事務局みっちゃん&エイミーが会員企業へ訪問インタビューをし、その企業の特徴や魅力をご紹介するコーナーです。
パッシブエネルギージャパン株式会社
代表取締役 ドイティンガー・クリスティアン氏
今回は、ドイツのパッシブハウスの技術を利用し、省エネで快適な生活ができる日本式パッシブハウスを建てたい、という思いから来日、起業し、熱回収換気システムを初めて日本で紹介された、パッシブエネルギージャパン株式会社に訪問して参りましたのでご紹介します。
ダクトレス熱交換換気システム「せせらぎ®」について
ダクトレス熱交換型換気システム「せせらぎ®」は、常にクリーンな空気を循環させて、すごしやすい室内環境を維持しつつ、冷暖房の効率低下を防ぎ省エネに貢献します。
・一般的な換気
寒い冬の外気や夏の蒸し暑い空気がそのまま部屋に入り、折角、暖房した空気や、冷房した空気がそのまま放出しています。そのため、エアコンの設定温度を冬場は設定温度を高めに夏場は低めにするという非効率な上、電気代も高くなります。
・ダクト式(配管)熱交換換気システム
換気システムの中で熱交換をするので温度は快適になりますが、ダクトの複雑な構造により電力消費が大きく、ダクト内の掃除がしにくく、埃やカビ等が発生する為、清潔に保つのが大変です。
・ダクトレス熱交換換気システム「せせらぎ®」
蓄熱エレメントにより熱交換を効率的に行える為、最大熱交換率は93%にもなります。熱だけではなく湿度もコントロールすることができ、配管が無いので衛生的で省スペースな構造で、新鮮な外気を取り込みつつ、室内の温度・湿度を一年を通して快適に保つことができます。
ファンの仕組みは排気と給気を60秒ごとに自動的に切換え、排気時に機器内部の蓄熱エレメントに熱と湿気を預け、給気時にその熱と湿気を新鮮な空気と共に放つようになっています。
一般的な住宅で大体4台か6台の偶数台数の運転になっています。
↓オフィスに入ってすぐに換気システムのショールームがあります。
【事務所内を見学】
ドイティンガー氏:新型タイプはコントローラーで制御しています。給気、排気、風力の運転モードの切換とCO2センサーが内蔵されている為、CO2濃度を計測し、自動的に換気量を増減し空気の入替えをしています。この内蔵されているCO2センサーのデータは常に集計しています。
(CO2センサーを見ながら)CO2濃度は室外だったら400ppm位、人間の健康的な生活にするためには、室内でも1000ppm以下に収まれば良です。
家を造るとき、高気密・高断熱にしたら窓は複層ガラスにして家を作ったらダクトレス熱交換換気システム「せせらぎ®」を導入し、CO2削減しましょう。
みっちゃん:こんなの初めて見ました。
ドイティンガー氏:上下自由に動くので掃除がしやすいですよ。
【海外から来日したインターン生】
ドイティンガー氏:これからデモをお見せします。品質管理の為のAIを導入しています。ソフト研究開発して倉庫にある組み立てラインに設置予定です。
このデモは、検査の確認などで、データはあとで起こしてクラウドなどで確認できるようになっています。
スタッフはインターン生が多いです。卒業研究、インターン、などです。環境展にも派遣したいです。
みっちゃん:皆さんエンジニアですか?
ドイティンガー氏:そうですね。AIでシステムをデータ解析し、最新の技術システムでクラウドを動かし、他のパソコンでも同時に見るとか出来ます。
みっちゃん:すごいですね!
【社内倉庫】
みっちゃん:機材がいっぱいありますね。
ドイティンガー氏:こちらは試作品です。
みっちゃん:こっちの部屋寒いですね。さっきの部屋と全然違う。熱交換換気システムの威力を感じられますね。
【作業室(ラボルーム)】
ここは電気基盤の開発をしたり、精密製品や測定器があります。基本的に生産は指定工場で行いますが、大量生産後、倉庫に移動保管し、製品の品質チェック、改善や改良する作業を無菌室に近いラボルームで行います。
また、ラボルームは帯電防止の床やテーブルで作業品質環境を整えています。
みっちゃん:この冷凍庫はなんですか
ドイティンガー氏:冷凍庫の温度は-50℃です。寒冷地で動くか凍結しないかここで試験しています。
顕微鏡も使います。倍率1.5~3倍。小さい部品はこれで見ます。
【インタビュー開始】
●御社製品についてご紹介下さい。
ドイティンガー氏:ダクトレス熱交換型換気システム「せせらぎ」の最新機種についてご紹介します
装置内のファンはこれまで外注したものを使用していたが、今回の新機種は自社で開発したものを搭載しています。
モーター内部はプラスチック製塗料を塗り、防水加工をしてあるので水に濡れても安心です。これは弊社だけの技術となります。
特性としては、モーター音が静かで消費電力が少なく1.6ワットほどです。しかし、消費電力が少ないにも関わらず、これまでより増して風量も多く、しかも防水だから濡れても故障が無く、塩害にも強いです。防水モーターは他社ではありません。
セラミック部分も取り外せて水洗いも出来るのでお手入れが簡単です。
フィルターの繊維は特殊で、ウイルスを分解することができます。ファンフィルターは粉塵、花粉(目が細かいから通さない)、ウイルスの3種類あります。
みっちゃん:このフィルターは汚れたら交換ですか?
ドイティンガー氏:粉塵フィルターは汚れたら掃除できますが、花粉フィルターは掃除したら性能が落ちてしまう可能性があるので交換となります。メーカーとしては交換を推奨しています。1年に1回が交換の目安です。
ドイティンガー氏:CO2センサーのご紹介もします。CO2はもともと、空気中にあまり多くない方が良いとされており、CO2濃度を低く抑えたらコロナなどのウイルス感染の可能性も低くなります。CO2濃度を監視し換気をしていたら安心という事です。
温度と湿度のセンサーが入っていることで、室内の温度と湿度を制御して快適な空間に保つ機能もあります。どのように制御しているかと言うと、主な仕組みは切換え運転の時間調整で、短くしたり長くしたり出来ます。
この他には海外向けのコントローラーもあります。
●仕事をする上での夢はありますか?
ドイティンガー氏:弊社の商品や技術によって、少しでも暮らしやすく、また高齢になっても健康的な暮らしが出来るように貢献したいと思っています。
みっちゃん:今後の目標はありますか。
ドイティンガー氏:我々の技術や商品は日本ではまだ知られていません。まずはもっと良く知って頂いて、これから家を建てる人に情報を与えて弊社の商品を検討頂きたいです。
我々の推奨している家の作り方ももっと広めたいです。
あとは、高断熱の住宅に一度暮らしていただけるとこの良さをわかって頂けるので、実際に体感して頂きたいです。ドイツでは当たり前ですよ。
また、ドイツのミュンヘンで建築関係の展示会があり、6日間開催します。
●目標としている経営者はいますか?
ドイティンガー氏:参考にした経営者は何人もいましたが、この方と同じようになりたいという方はいませんでした。この人は成果があったとか、あの人はこういうとこが良いとか、それぞれの組み合わせが良いですね。
みっちゃん:その方々はどんなところを真似してみたいとか良いとこがありましたか
ドイティンガー氏:大学院の1年先輩で良く一緒に行動していた時もあった方で、日本の結構規模の大きい住宅会社の社長をされていらっしゃいました。当時リーマンショックの頃、アメリカで何社もハウスメーカーが倒産し、日本企業も倒産など大変な時期に、その社長は早めに状況を把握して、周囲から反対意見もありましたが資金繰りを意識するためにどんなに安くても売却してストックを置かないようにしていました。うまく回してリーマンションクをうまく乗り越え、そのあとも正常に経営しています。
回りの意見を認めることは絶対に正しいとは限らないです。論破して自分が正しいと思ったら貫き通す事も大事です。自信が付きました。会社経営は彼を参考にしながら乗り越えてきました。
●なぜ経営者になろうと思ったのですか?
ドイティンガー氏:長く会社員をやって行くにつれ社内の様々な現状に、自分だったらもっと良い成果出せるのに、という思いが芽生えるようになり経営者になりたいと思いました。
●仕事をしていてやりがいを感じる時はどんな時ですか?
ドイティンガー氏:最初は一から会社作るので、何でも自分でやらなくてはならなかったのですが、社員も増え、さらに仕事を任せられるようになり、会社の成長にやりがいを感じています。
インターン生や海外の学生も扱うようになり、今後のキャリアアップに導いたり、弊社でも採用し、留学生のコミニュティみたいな感じになっています。もっとこの繋がりも大きくして行きたいです。
海外の日本語学科の大学では4年間の学生生活の中で、6か月間日本に行ってインターンシップをする必要があります。自分の専門に関連する仕事の実務経験や、もしくは大学の研究課題に取り組まなければ卒業できません。日本の企業はそういう制度がなく、受け入れてくれる会社がほとんどありません。最近問合せが多くて困っています。
●いままで一番ピンチだったことはありますか?
ドイティンガー氏:東日本大震災の時、会社を起業してちょうど1年位でした。やっと軌道にのった頃に経験したことの無い事態となってしまい、これから原子力発電が止まってしまうとか、エネルギー節約しなくてはならいという状況になりました。そこで、我々の商品がちょうどマッチするかと思い、無理して営業にお金かけすぎてしまいました。実際のところ建設業界では建材が充分に入って来なかったし、福島県の仮設住宅に熱交換機を付けるようにお願いしましたが必要とされる設備でなかった為、震災があって1年半位はほとんど売れず大変でした。
そのあとは国の政策が変わり、住宅において省エネ推奨しなくてならいゼロエネルギー住宅の補助事業が出され、助成金なども出て、そこでやっと弊社の製品も軌道に乗り助成事業にも推奨されて成長してきました。
大震災の後、1年半位、何も事業が動かないことが想像出来なかったです。それまで小さい地震は経験していましたが大きな地震は初めてでした。震災の時は釧路にいました。
●現在ドイツにある会社の発展はいかがですか?
ドイティンガー氏:ちょうどコロナ前に会社を作ったので、今のところまだそれほど伸びてないですが、今年は何とかちょっと伸ばせそうです。元々、良い商品があるから売れると思ったのですが、お客さんも好みが色々あるので、新規開発でデザイン変えたり、色も変えたりして工夫しています。
【社内懇親会に参加】
ドイティンガー氏:最近始めた社内レクリエーションで人気のあるフットサルをこれから社員のみんなでやりますので、ぜひ一緒に参加しましょう。
【編集後記】
京浜急行線の北品川駅から歩いてすぐのこちらの事務所は箱根駅伝でも有名な国道に面し、ダクトレス熱交換型換気システム「せせらぎ®」と書かれた看板は電車の車内からも見えてとても目立ちます。事務所内はスタッフの作業スペースの他、入口入ってすぐのところに製品のラインナップを展示した明るいショールームがあり、気軽に見て訪れたくなる素敵な空間。室内にはダクトレス熱交換型換気システム「せせらぎ®」が設置してあり、効果が体感できるようになっています。
室内を見せて頂きながら各部屋を移動していくと、換気システムを設置してない部屋に入った瞬間、温度、湿度ともに体感する感覚が全く違ってビックリ。冬の寒い日でしたが、製品を設置している部屋は暖房をほとんどつけていないのに寒さを感じませんでした。内部の蓄熱エレメントの効果がこんなにはっきりとわかって大変驚きました。
また、スタッフは日本人の社員の他、インターン生の外国人が多数いらっしゃり、ドイツ、イギリス、アメリカなど国際色豊かなメンバーでした。皆さんそれぞれの研究に没頭して真剣な面持ち、しかし仕事が終わると明るく冗談や話題が絶えず楽しい方達でした。ドイティンガー社長のように日本に憧れ、日本の文化や技術を学び、日本と関わる仕事を目指して頑張っている様子でした。ここから良い環境技術を継承する若き社長が生まれるのも夢ではないかもしれませんね。
ドイティンガー社長は日本が大好きでドイツも大好きで、ドイツの優れた住宅技術を日本で広めたいと頑張っていらっしゃいます。そんな熱い想いを応援したいですね。
ドイティンガー様、パッシブエネルギージャパン㈱の皆様
ご貴重なお時間ありがとうございました。
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